兵器・武装 weapons

零戦

帝国海軍が誇る艦上戦闘機。軽快な運動性、当時としては大口径の20mm機銃等、色々な特徴が喧伝されるが、おそらく実戦的には超長距離航続能力が搭乗員に抱かせる安心感、運用性がこの機の白眉。脆弱な防御能力は生存性だけでなく、最大降下速度にも悪影響を及ぼしており、空戦の争点が巴戦から高速一撃離脱に移行した後、苦戦を強いられることに。今回はろくでもない名前を与えられて、老骨に鞭打っている。

97艦攻

帝国海軍では、軽爆弾(250kg級)を搭載して急降下爆撃を行う艦載機を艦上爆撃機、重爆弾(500kg級以上)もしくは航空魚雷を搭載して水平爆撃、雷撃を行う艦載機を艦上攻撃機と称する。真珠湾奇襲~珊瑚海海戦時における制空戦闘機(零戦)、爆撃機(99艦爆)、攻撃機(97艦攻)の3点セットは米軍の心胆を寒からしめた。人殺しの道具とは思えない、細身の実に優美なシルエットを持つ。しかし、足の遅さは如何ともしがたく、制空戦闘機の優位性が崩れ始めると七面鳥のように墜とされた。ミッドウェー海戦における第一次攻撃隊隊長友永大尉の乗機は、時雨のお気に入り。十三祝いにもらった1/32スケールモデルを目の中に入れても痛くないほど大事にしていたが、舞風が壊した。

TC-90

もともとはターボプロップのビジネス機だが、改装して練習機にしている軍隊もある。高校生の航空実習に使うには相当贅沢。時雨はタキシングの練習で脚を折ってしまい、以降航空科目を欠席するようになった。

赤城

巡洋戦艦として設計されたり、三段空母にされたり、全通甲板の正規空母になったりとなんだかいろいろたらい回しにされた艦。真珠湾奇襲~珊瑚海海戦と、第一機動部隊が破竹の進撃を続けたいい時期に旗艦を務めた。太平洋戦争の帰趨を決めたとされるミッドウェー海戦で、艦載機の装備換装中に急降下爆撃を受け、誘爆によって蒸し焼きにされた。真珠湾奇襲時に掲揚されたZ旗(決戦旗)を持っていると時雨が主張しているが、模造品の可能性が高い。

HH-90GペイヴホークⅡ救難ヘリ

やたらと生産され、世界各国を無闇に飛び回っている輸送ヘリ、UH-90を要員救助用に改装した救難ヘリ。戦場だの海上だのに取り残された兵の最後の希望。

F-15/MTD

1970年代の老朽戦闘機をまだ使い回さなければならない米国の厳しい台所事情を象徴する戦闘機。希少種なため、おばあちゃんになっても繁殖を強いられるトキの雌を彷彿とさせる。基礎設計がいいのか、大きなカナード翼が効いているのか、二次元スラスターが逞しいのか、あるいはライバル機の予算もケチられているためか、世界的に見ても相対優位な性能を保っている。デコレーションな外観が兵器マニアの心身を刺激するらしく、これに欲情した時雨がろくでもない融資話に飛びついた。

05式軽戦車

陸上自衛隊の主力装備。戦闘能力よりも、鉄道網で運べるかどうかに気を遣って設計されている。

クラスター爆弾(CBU-87)

見た目は大型爆弾だが、起爆することで大量の子弾をばらまく広域殺傷兵器。特に、CBU-87は人を殺して殺して殺すことに特化したえげつない一品。

迫撃砲(MO120RT)

歩兵が持って歩く簡易砲。安いのが魅力で、涼波のお気に入りの兵器。いつか散花でも入手したいと思っている。自分で持って歩かない指揮官と会計官は大抵これが好き。色々ケチっているので初速を速くできず、山なりの弾道で敵を襲う。したがって、あまり飛ばず、あまり当たらない。見た目はごついので、死にゆく兵に気休めに持たせるのに最適。

重機関銃(XM806)

第二次世界大戦時の航空機銃ほどの弾薬を敵に叩き込む、歩兵戦におけるビッグママ。機関銃といっても相当大口径なので、もはや1人で運用することは難しい。戦場に持って行くのは大変だが、まともに掃射する機会があれば、クラス全員ほどの人数をまとめて鬼籍に入れることも可能。

重機関銃(M312)

重機関銃を軽くしてみたかった、という自分の存在意義に挑戦した兵器。取り回しにはけっこうな熟練が必要で、射手と副手の息が合っていないと、ひどいことになる。愛宕山遭遇戦で、何の弾みか舞風と涼波が味方小隊に向けて発砲しているのを目撃したとする記録が残っている。

軽機関銃(XM-8)

初速の速い、小口径個人携行型のアサルトライフル。時雨のお気に入りの兵器。携行弾数が多く、クリーニングをほとんど必要としないなど、極めて実戦的に作られているが、兵器マニアの時雨はいつもクリーニングしていて、設計者の意図を踏みにじっている。フルオートで弾をばらまくこともできるが、会計官が真っ青になる。時雨はこの銃で500m先の紅茶壺を撃ち抜くという、すごいのかすごくないのか今ひとつピンとこない記録を残している。そもそもどうして紅茶壺など撃ち抜く羽目になったのか、詳細は不明である。

炸薬榴弾(MX25)

弾体内に爆薬が装填されている砲弾。着弾した後の爆発と破片で人を殺傷し、ものを傷つける。比較的安価で大量に殺せるため、殺傷コストパフォーマンスは良好。迫撃砲などと同様、いわゆる曲射砲になるので、実際に目標に当てるのは大変。榴弾が頻繁に着弾する中を、平静に行軍できるようになればその軍は一流と言われるが、あまり一流になりたくない気もする。舞風によれば、涼波は着弾ごとにそろばんを弾いて恐怖を克服したという。しかし、その克服方法もあまり真似したくない気がする。

徹甲弾

艦船や戦車等の十分に装甲された兵器は、榴弾では貫通できず、大した被害を与えられない。そこで、装甲を貫くことに特化した砲弾が徹甲弾である。人に向けて撃つと貫通することで殺傷力が落ちてしまうので、もっと柔らかい銃弾で貫通させずに体内を駆け巡らせた方が確実に無力化できると言われるが、どちらにしろ死ぬし、どちらにしろ痛い。捷一号の給弾ベルトは、最初は徹甲弾から撃ち始めるよう設定されていて、曳光弾を花火と勘違いしている舞風の不興を買った。

対戦車ライフル(PTRS-1941)

銃というよりは、砲と呼んでみたい気もする長砲身ライフル。2名で操作する戦車キラー。人に向けて撃っちゃダメ。古い銃器ゆえ故障も多く、暴発が多発する。現時点では敵を殺すための道具なのか、射手を殺すための道具なのか判然としない。

クレイモアトラップ

対人地雷。オタワ条約違反兵器。トラップに引っかかると、磨き抜かれた素敵な鉄球を1000個近く音速でプレゼントしてもらえる。プレゼントエリアは扇状に設定されているため、よほどの幸運がない限り引っかかった兵とその友だちは無力化される。

無力化

殺すこと。

震電

帝国海軍渾身の邀撃戦闘機。1940年代の航空機としては、革新のさらに斜め上を行く先尾翼、プッシャ型レシプロ機。30mm機銃×4を持ち、最大戦闘速度は750km/hを予定していた。終戦までに完成していれば・・・・・・とよく言われるが、この機体サイズで30mm機銃だとものすごく装弾数が少ない。当時の技術でプッシャ型(リアプロペラ)は、満足にエンジンを冷却できたか疑問も残る。実戦投入したところでどのくらい役に立ったかは不明だが、後ろにピストンエンジンを積んでいるところが舞風のお気に入り。

対艦ミサイル(P-800)

オーニクス(縞瑪瑙)とも呼ばれる対艦ミサイル。固体ロケット推進からラムジェット推進に切り替わる二段推進型で、ステルスコーティングもなされるなど、ロシア製兵器の割に意外と金に糸目をつけていない。その高価さは、戦争部の運用兵器とは別世界。最大速度はマッハ2.5に達する。リニアモーターカーのような外見で、若干とぼけたふうを装っているが、一発で何千人も殺せる。

CIWS(シウス)

バルカンファランクスシステムとも。艦が持つ多層対艦ミサイル防御システムの近接段階(最終段階)を担当する。湯水のように銃弾をばらまき、突っ込んでくるミサイルに最後のお願いをする、ある種の神頼み兵器。テストでは模擬弾相手に優秀な性能を示すが、所詮有効射程数kmの銃器であり、対艦ミサイルが射程距離に入ってから自艦に着弾するまでの猶予は数秒程度しかない。実戦では、命中はするものの、ミサイルの残骸が音速で着弾し、結局たくさん人が死ぬ。嘘みたいに弾代がかかる。

ミドルレンジスパロー(ZIM-7J)

中距離対空ミサイル。艦で使われる場合は、多層対艦ミサイル防御システムの中距離段階を担当する。長距離ミサイルは高くてあまり撃てないので、事実上飛来する対艦ミサイルに最初に接敵する兵器。けっこう撃ち漏らす。今回は正規軍の装備であるため心配ないが、高校の戦争部が運用するような廉価版では発射母体がレーダー照射をし続けなければならないセミアクティブホーミングが未だに採用されており、撃った後も動けないミサイル射手がよく死亡する。

ショートレンジアロー(ZIM-9L)

近距離対空ミサイル。艦で使われる場合は、多層対艦ミサイル防御システムの近距離段階を担当する。赤外線誘導であるため、戦争部が購入してくるようなパチものだと、太陽や温泉に向かって飛んでいくこともしばしば。満腔入魂の金策を1秒で否定された会計官を、心療内科へ導く誘導兵器。

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